「ない」から「ある」を見出せるか

焼き立ての皿でご飯を食べながら、考えてみる。「ない」といわれているところで、10年も「ある」を信じ抜くことはできるだろうか。「ない」を「ない」ままで信じて、「ある」ものを無視してないだろうか。
江連千佳 2023.08.31
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この前、千葉県のクルックフィールズという、自然に囲まれた場所で開催された、あるワークショップに参加した。その場所から掘り出された粘土を使って、焼き物をつくる過程を体験できるらしい。私は、この数年でうつわにハマっていて、見たり、買ったり、ろくろを回したりもしていた。しかし、その場で取れた土からうつわを作るなんて手の込んだ体験ができることは、なかなかないので、ワークショップがすごく魅力的に感じ、参加してみることにした。

ワークショップで体験するのは、千葉の土をつかった「安房焼き」という陶器づくり。ガイドをしてくれるのは、安房焼きの産みの親、陶芸家の西山さんだった。地名がついた陶器なんて、相当歴史が長いのかと思いきや、産みの親が直々に教えてくれるという。安房焼きは、ここ最近生み出されたものだった。

もともと、千葉の土では陶器はできないと思われていたらしい。焼くと溶けたり変形したりしてしまうことが大きな問題だったという。しかし、西山さんはさまざまな方からの協力を経て、10年近くかけて陶器にできる粘土をみつけ、安房焼きという新たな焼き物を生み出したわけだ。

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